あなたは仕事がうまくいっていますか?
さてドラッカーから、
「暗黙知」と「形式知」
を紹介しましょう。
例えば、熟練工の世界は、
「仕事は盗んで覚えろ」とか「自分で学べ」
といった「親方や徒弟の世界」と言われます。
このようにして得る知識を、
「暗黙知」
と呼びます。
ではもう一方の
「形式知」
はどのような知識でしょうか。
これは、学校や職場で同じ知識を共有するようなものです。
―知識を明文化・理論化した後、教育や訓練の実施によって、
職員が同じ知識を共有する―
これをドラッカーは、知識労働者の生産性を高めるマネジメントとしています。
ここで「知識労働者」について説明しましょう。
「知識労働者」に対する労働者は「肉体労働者」です。
「知識労働者」は知識を自分のものにしていて、現在の社会の中心となってきて
います。特に最近の「知識労働者」は、「知識労働」と「肉体労働」の両方を扱う
ようになってきています。高度な知識を持ちつつ、仕事自体は肉体労働、という
感じです。このような知識労働者の代表を「テクノロジスト」と呼んでいます。
介護の世界に携わる職員も「テクノロジスト」です。
ドラッカーは「テクノロジスト」の仕事においては、前出のような「コツやカンに頼る」
「暗黙知」の世界は崩壊する、と言っています。
それだけ、知識労働にはしっかりとしたマネジメントが必要であり、それが不充分で
あれば組織に成果を挙げさせることができない、ということになるわけです。
この観点から、ちょっと介護の世界を見てみましょう。
介護の世界にはいろいろな知識があります。
それを「暗黙知」で覚えさせるか、「形式知」で覚えさせるかで組織の成果が随分と
異なってきます。
「暗黙知」優先の介護現場はどのような感じなのでしょうか?
先輩職員の対応を新人職員が盗まなくてはなりません。
しかしながら、認知症の利用者の方への対応ひとつとっても、先輩職員の知識が
充分な場合はあまりありません。
なぜなら、その先輩職員の知識は、数年前に、不充分な知識をもった職員から盗んだ
「暗黙知」であるからです。
介護の世界ではすでに「暗黙知」は崩壊しています。
ですから必要なのは先輩職員から知識を盗むのではなく、介護の知識を
「明文化・理論化」して、
しっかりと「教育・訓練」を実施して、
職員が同じ知識を共有することが重要なのです。
このことの重要性を私はある女性職員から学びました。
彼女は長年、総合病院で看護助手を経験してきた方です。
経験年数は立派なので、新入職員の指導を任せていましたが、
どうも上手くいきません。
彼女に話を聞いた時に何度か次のような言葉がありました。
「今の職員は甘すぎる。わたしが看護助手だった時は、こんなに丁寧に
教えてもらわなかった。仕事は見て盗むように看護師に言われていたし、
わたしもそれに負けまいとして、一生懸命にやってきた。それで今の知識や
経験がある。今の職員にもそれくらいの気持ちで頑張ってほしい」
まさに「暗黙知」の典型です。
私自身は「形式知」で新入職員を育てる流れを構築していっている最中で
あったのですが、彼女にはそれを理解されていなかったようです。
その時は私自身「暗黙知」と「形式知」という言葉を知らなかったので、
彼女に上手く伝えることができませんでした。
今ならおそらく彼女に「暗黙知」と「形式知」の話ができます。
あなたも是非、「暗黙知」ではなく「形式知」での知識を職員へ与えるように
マネジメントしていきましょう!
ベックでした。
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