さて、育児において「甘やかし」や「抑制」が、子どもが社会の役に立つ一員と
なることをどんなに阻害しているのか、ということを見てきました。
これはすなわち、「甘やかし」や「抑制」が子どもの「共同体感覚」を邪魔する
効果を持っている、というになります。
とすれば、あなたやあなたの周りの人の「共同体感覚」には、その人の子ども
時代の育てられ方が少なからず影響しているということになります。
では子どもであれ、大人であれ、適切な「共同体感覚」の成長を阻む重要な
要因をこれから数回にわたって見ていきましょう。
その要因とは、
「劣等感」
です。
甘やかされたり抑制された子どもは、自分自身の「劣等感」を増大させます。
そしてこの「劣等感」が起こった時に「共同体感覚」が限界に達する、と言われて
います。
ではこの「劣等感」とは何なのでしょう?
「劣等感」には3つの「劣等感」があります。
1つ目の「劣等感」は、「生物学的劣等性」からくる「劣等感」です。
これは、人間にはライオンのような牙がなかったりトムソンガゼルのように速く
走れる脚ではなかったりするので、生物として生きていくために集団を形成したり、
道具を使うようになりました。人間は、自らの体力の劣等性を補うために知性を
発達させてきたのです。
1つ目の「劣等感」は、このように人類そのものの「劣等感」です。
2つ目の「劣等感」は、知性が発達することで発生しました。人間は、宇宙における
自分たちの小ささ、避けられない死、人がこの世に存在するということには破滅もあり
限界もあるということを理解したのです。人間は、これを補うために宗教や哲学や芸術の
中にそれを見出すようになりました。
2つ目の「劣等感」も、人類そのものの宇宙的な「劣等感」です。
さて、上記の2つの「劣等感」は人間に影響を与え、人類に刺激を与えてきました。
最後の3つ目の「劣等感」はこれまでの2つとは全く別の意味を持っています。
3つ目の「劣等感」は、個人に影響を与える社会的な「劣等感」です。
この「劣等感」は先の「劣等感」のように他の人々と結合させるということにはなら
ないで、他の人々と対立させる働きをします。
これは困ったものです・・・。
それでは、この3つ目の「劣等感」についての詳細は次回に続きます。
ベックでした。

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